第43章 対話
杏「とても良かった!!!」
そうシンプルな感想を言うとベッドをギッと鳴らして菫の方へ身を乗り出す。
杏「もっとその様な口調で話して欲しい!!」
「……意識すると難しいです。」
菫はそう呟くように言いながら近くへ来た杏寿郎を見上げた。
完全に覆い被さっていないとはいえ、二人の体勢は大変危うい。
舞い上がっている杏寿郎はその体勢に気が付いていないようだったが、菫は困った様に眉尻垂らして頬を染めた。
(杏寿郎様は男女の距離感をあまり分かってないのかしら…。)
そう思うと蜜璃を撫でた杏寿郎の姿が頭に浮かぶ。
菫は無意識に眉を寄せた。
「……杏寿郎様はこういった所を見直された方が宜しいかと。」
思ったより棘のある声が出てしまった。
菫は失言を重ねて再び口を両手で覆った。
一方、杏寿郎はそんな言われ方をしても、初めて見る菫を嬉しく思って笑顔を浮かべ続けている。
杏「どういった所だろうか!!」
杏寿郎がそう訊きながら更に身を乗り出すと、菫は近付いた杏寿郎の顔に驚いて肩を跳ねさせた。