第43章 対話
杏「初めは蓮華さんが君の妹だと分からなかったのだが、『言われてみれば確かにしっかりした所が似ている。』と本人に言ったら、いつかそれを君に伝えてくれと強くせがまれた!」
杏寿郎が蓮華の勢いの良さを思い出して笑みを浮かべながらそう伝えると、菫も可笑しそうに笑った。
「妹はお転婆で少し困った所がありました。私はそんな姿しか知りません。でも…、私が家を出てから変わったのだと母からの手紙に書かれていました。杏寿郎様に似ていると思われたのなら、私の真似でもしてくれたのかしら…。」
杏寿郎は横たわって菫を見つめながら頭を撫でてやりたくなる気持ちを堪えた。
杏「そういえば君が晴美さんに似ていると言ったら晴美さんと蓮華さんは驚いていた。重國さんに似ていると言われていたのだろうか。」
菫はそれを聞いて目を丸くした。
自分でも父親の血が濃いと思っていたからだ。
「はい。性格も顔立ちも似ていると言われますし、実際私自身もそう思っています。」
そこで言葉を切ると菫は視線を逸して少し恥ずかしそうに目を伏せる。
「…鬼殺隊という男所帯に入ってからは特に父の雰囲気を真似をするようになったので、会った時に気を付けなければ母から呆れられそうです。『何ですかその話し方は、女性らしくなさい。』、と。」
現在の菫を女性らしいと思っていた杏寿郎はピンときていない笑みを浮かべた。