第43章 対話
(蟲柱様は私の事をよくご存知だからきっと根回しされてしまっただろうな…。)
菫もしのぶの行動を読んで溜息を吐いた。
しかしすぐに頭を振って切り替えると、決意するようにきゅっと拳を握る。
まだやりたい事、すべき事があったのだ。
「……杏寿郎様。」
菫は横になりながら顔だけ杏寿郎の方へ向けた。
杏「む!どうした!!」
話し掛けられた杏寿郎は嬉しそうに微笑んでいる。
菫はその笑みを見て表情を和らげた。
「……お話ししたいです。」
確かに菫達はなんだかんだ必要最低限の情報を共有しあった後、まともに会話を出来ていない。
そして、夕方まで寝た二人は全く眠くなかった。
杏寿郎は菫の申し出に温かい笑顔を浮かべ、『勿論良いぞ!』と朗らかな声で返事をした。
―――
「……そんなに何度も家へ行って下さっていたのですね…。」
杏「うむ!だが俺の為にもなっていたのであまり感謝しないで貰いたい!!」
菫は杏寿郎が予想より多く家族と交流していた事に驚き、そして外堀を埋める目的もあった杏寿郎は正直にそう述べた。