第42章 恋仲

(ど、どちらが杏寿郎様の為になるのか分からない…！)


その時、杏寿郎の頬に手が触れてしまった。

杏寿郎はすぐに覚醒してバッと身を起こした。



「……………………あ………、」


杏「…………………………………。」



杏寿郎は菫の伸びた両手と真っ赤な顔を見て口付けしようとしていたのだと勘違いをし、目を見開いたまま頬を染めた。

その顔を見た菫もつられて更に赤くなり俯いた。


「も、申し訳ございません！その、不要な事を…！」

杏「……いや、不要では…ないが…。」


その言葉に菫はパッと顔を上げた。


「で、でしたら…！」


菫は許された事で少し調子を取り戻し、椅子に腰掛けた。

杏寿郎の体への心配の方が恥よりも大きくなったのだ。


「私に任せて頂けませんか…？私のは気持ちが良いと定評があるのです。」


杏「………それは、だが、君は…、慣れているのか。」


杏寿郎がショックを隠しきれずにそう問い返すと、拒まれなかった菫が杏寿郎の首に手を伸ばした。


「何度かした事があります。近くに困った子がいたもので…。」


そう言いながらいっぱいいっぱいになっている杏寿郎にもっと近付く。

そして、横首をもみっと揉んだ。