第11章 薬草を届ける日
(早く終わるよう、刺激しないようにしないと…。)
菫が無表情でそんな事を考えていると、杉本はおもむろに顔を殴った。
―――ドタンッ
菫は強い衝撃と共に床に叩きつけられる。
杉本は今まで顔を殴ったことがなかった。
顔を隠す隊服を身に纏っているとはいえ、隠達はずっと頭巾を被っている訳ではない。
食事中には取る者も多かったのだ。
それ故に、自身の行いが周りに知られないよう体にだけ痣を残してきた。
杉「炎柱の前だからって色気づきやがって。その醜い痣が見えないように四六時中、頭巾を被ってろ。」
「………。」
杏寿郎の前で隊服を脱いだ事のない菫だったが、以前この話題で反論を禁じられた為に黙って頷いた。
すると杉本は目を丸くしてから満足そうに笑った。
杉「今日は随分と素直だな。じゃあ、」
そう言いながら座り込んでいた菫を乱暴に立たせてベッドに突き倒す。
杉「沢山褒美をあげなくちゃなあ。」
そして拳を振り上げた。
褒美と言いながら、杉本は結局いつも通り菫に拳を入れ、床に転がせると腹を蹴り、脇腹を踏んだ。