第42章 恋仲
し「煉獄さんが『菫さんに会えないと死んでしまう。』と言いかねないので連れて来ました。お二人共仲良く大人しくしていて下さいね。」
実際菫も相当五月蝿かったのだが、しのぶはそう杏寿郎を追い詰めるような言い方をした。
杏「……感謝する!!!」
杏寿郎は『手段はどうであれ願いは聞いてくれたのだ。』と割り切ってそう礼を言ったが、少しぎこちない笑顔を浮かべている。
しのぶはその顔に満足そうな明るい微笑みを返したのだった。
しのぶが退席したのを確認すると、杏寿郎は様子を見ていた菫に向き直る。
杏「君と話がしたくて胡蝶に会いたいとしつこく強請った。今眠くはないか。良ければ早速話をさせて欲しい。」
「…眠気は全くありません。」
菫はただならぬ空気に拳を握った。
杏寿郎は頷くと菫の瞳を真っ直ぐ見つめる。
本当はもっと近くで話したかったのだが、今は願いを聞いてくれたしのぶの決断を大事にしたいと思ってなんとか踏み止まったのだ。
杏「単刀直入に言おう。列車の鬼についてだが、俊彦さんに聞いて君のご家族も俺も知っていた。」
「…………………………。」
菫の口が薄く開く。