第41章 休養
「最低でも十人前のお食事を炎柱様にご用意して下さいませ。勿論、さつま芋も忘れずお入れ下さい。」
しのぶの額に三本の青筋が浮かんだ。
し「菫さんがお元気そうで安心しました。それでは失礼します。」
しのぶが笑顔でそう言って出て行くと、菫は気落ちしながら掛け布団を被り直した。
(あの感じは用意して下さらないわ…。)
杏「胡蝶!!俺の食事が無いのだが!!!」
杏寿郎と炭治郎、善逸、伊之助がいる部屋に入ると、しのぶは微笑みを引き攣らせた。
し「ではその目の前にある空の食器は何なのでしょう?」
杏「…一応食事と呼べるな!!」
杏寿郎はそう答えて漸く自身がまずい事を言ったのだと気が付いた。
杏「すまない!失礼な事を言った!!菫さんが毎日毎食好物を出してくれるので舌が覚えてしまっていたようだ!!この食事も美味かった!!!」
杏寿郎が大きな声でそう言うとしのぶは溜息をついてベッドに寄ってきた。
し「好物とはさつま芋ですね。菫さんに頼まれました。流石に十人前は無理ですが、あと二食分なら頑張りましょう。」
その言葉に杏寿郎はパッと顔色を明るくさせる。
し「そうしないと菫さんもベッドを出てきてしまいそうなので。」
杏「それは危険だな!十人前を食べていると伝えてくれ!!」
しのぶはそれを聞くと、『多分もう聞こえてますよ。』と言って困った様に笑った。