第40章 無限列車―其の弐
「俊彦さん、本当に申し訳御座いませんでした。また後日お詫びをしに参ります。」
幼い頃より一緒にいたのに、いつまで経っても他人行儀な菫を見て俊彦は寂しそうに眉尻を下げて微笑んだ。
俊「全くだ。貴女が炎柱様の元へ行ってくれて良かった。腹に肘を入れられると思うと恐ろしくて夫婦喧嘩など出来たもんじゃない。」
その言葉に菫と杏寿郎が目を丸くする。
菫は『私は夫婦喧嘩など致しません。』と言い、杏寿郎は『菫さんが肘を?』と首を傾げた。
その様子に俊彦は少しすっきりとした笑顔を浮かべる。
俊「今日は一度帰ります。また改めて名古屋へ向かうのでお時間が空いていれば一緒に来て頂きたい。まだ話したい事があります。」
「申し訳ありませんが、私は杏寿郎様のお世話がありますのでお時間が取れません。」
杏「それなら俺も共に行こう。そうすれば問題はあるまい!どうせ胡蝶が暫くは戦うなと言うだろうしな!」
それを聞くと菫はすぐに『承知致しました』と言い、再び俊彦に視線を戻した。
「それはそうと…、」
当然、杏寿郎も俊彦も無限列車の鬼が菫を拐かした鬼であった事を知らない。