第40章 無限列車―其の弐
「申し訳御座いません。お気持ちを全て無視してしまいました。暴力も振るった記憶、が…っ、」
言葉を紡いでいる途中で菫が吐血すると杏寿郎と俊彦は青くなった。
俊「な、け、怪我を…?」
「……いえ、掠っただけで…、」
菫がハンカチを取り出しながらそう言うと、杏寿郎は問答無用で菫を抱き上げた。
「だ、駄目です…!杏寿郎様の方が酷いお怪我を…、」
杏「させてくれ。次に君が血を吐いたら俺の心臓は止まる。」
杏寿郎は一度そこで言葉を切ると視線を菫から外して前を向いた。
杏「…君、全速力で走ったろう。今気が付いたが随分と着崩れしている。……足が出過ぎているぞ。」
菫はハッとすると手早く着崩れを直し、気まずそうに黙り込んで大人しくなった。
その後、要は目出度い報告をしに耀哉の元へ飛び立ち、駆け付けた隠によって応急処置を受けた杏寿郎は用が済み次第菫と共に蝶屋敷へと向かうことになった。