第40章 無限列車―其の弐
猗窩座が消えたのを確認すると、杏寿郎は真っ先に菫の両肩を優しく掴んで自身の方に向かせた。
杏「この血はどうした!内臓を傷付けたのか!!」
そう問われて初めて、菫は自身が血を吐いてしまっていたことに気が付いた。
「少し鬼の攻撃が掠りました。それよりも杏寿郎様の手当てをしなければ…。すぐに列車の鬼の被害を聞いた隠が到着する筈です。林を出て応急処置を受けましょう。」
菫はそう言いながらハンカチで口元を拭うと、『失礼致します。』と断ってから杏寿郎の手を引いた。
伊(この女強いのか……?)
伊之助は自身の危機に駆け付け、そしてとてつもなく強かった杏寿郎を引っ張る菫に困惑した。
炭「伊之助!!煉獄さん!!…と……、」
俊「菫さん!!!」
炭治郎は自身の脇を駆けて行く俊彦を見て目を見開いた。
俊彦は菫に駆け寄ると怒れば良いのか、無事を喜べば良いのか分からず口をぱくぱくとさせる。
それを見た菫は眉尻を下げながら深く頭を下げた。