第40章 無限列車―其の弐
杏寿郎はその痛ましい表情に眉を顰め、目を細めながらも無情に刀を振るった。
すると猗窩座は抵抗しない。
固い首に刀が入った。
伊「………………。」
「…何で……、」
菫と伊之助が困惑する中、猗窩座の脳内には激怒した無惨の声が響く。
しかし猗窩座はもう戦う理由を失くしてしまっていた。
そして、杏寿郎を受け入れるかの様に目を閉じる。
杏「……。」
杏寿郎はその様子を見ても動じず、柱としての務めを果たそうと全身に力を込め、そしてとうとう刀を振り抜いた。
ゴトンッと首が落ちる音がする。
(……一体何が…………、)
菫が呆然としながら落ちた猗窩座の首に目を遣ると、猗窩座は菫を見ていた。
その時、菫はその男に謝られた気がしたが、猗窩座はすぐに塵となって消えてしまったのだった。