第40章 無限列車―其の弐
炭(禰󠄀豆子…善逸…煉獄さん…きっと無事だ、信じろ…。)
伊之助と共に闘った炭治郎は、皆の無事を願いながら仰向けに倒れていた。
腹の傷と、新しい呼吸の所為で体が動かなくなっていたのだ。
安否確認を終えた杏寿郎がそれに気が付いて駆け寄ってくる。
杏「全集中の常中ができるようだな!感心感心!」
炭「煉獄さん…。」
炭治郎は杏寿郎の登場に驚いている様だった。
杏寿郎はそんな炭治郎に腹の止血方法を指南する。
炭治郎は少し手間取ってしまったが、なんとか止血に成功した。
杏「呼吸を極めれば様々なことができるようになる。何でもできるわけではないが、昨日の自分より確実に強い自分になれる。」
その言葉に炭治郎は少し遅れて『…はい。』と返事をした。
杏寿郎はその様子を見るとにこっと優しい笑顔を浮かべる。
杏「皆無事だ!怪我人は大勢だが命に別状は無い。君はもう無理せず…、」
―――ドオンッッ
杏寿郎が言い終わらないうちに何かが落ちてきた。
杏寿郎の表情が変わる。
其処に現れたのは魘夢などとは比べ物にならない大物、つまり、上弦の鬼であった。
それも与えられた数字は参だ。
上弦の中でも上位なのだ。
只でさえ上弦の力は柱三人の力に匹敵すると言われている。
この状況は余りにも絶望的であった。