第40章 無限列車―其の弐
炭治郎は腹に傷を負ったものの、伊之助と力を合わせて魘夢を追い詰め、そして首を斬った。
しかし、ほっと息を吐く間も無かった。
魘夢が断末魔を上げながら暴れたせいで列車が横転しそうになったのだ。
杏「!!!」
杏寿郎は魘夢が苦し紛れに乗客に伸ばした手を切断すると、列車の被害を最小限に留めるよう多くの技を放って乗客を守ろうとした。
善(………す、すご…、)
夢から醒め、車両を移動してきた善逸はその後ろ姿を見て目を見開いた。
そして、自身も出来る事をしようと慌てて持ち場に戻った時だった。
ぐらぁっと立っている場所が不安定に傾く。
善「危ないッ!!」
列車がいよいよ横転しそうになったのだと悟った善逸は、咄嗟に禰豆子と側に居た子供を抱き締めた。
善「……ゔっ!!」
そして腕の中の子達を庇い、頭を打って気絶してしまったのだった。
杏「…はっ…はっ、」
杏寿郎は乗客の安否を確認しながら菫が居た筈の車両へ駆け付けた。
すると、横転直前に魘夢の夢から解放されたからか、俊彦が菫を庇うように抱き締めて倒れていた。
急いで確認すると俊彦も無事であった。
杏「俊彦さん、感謝する。菫さん、無事でいてくれてありがとう。」
杏寿郎は菫の髪をさらっと撫でると再び乗客の安否を確認しに走り出した。