第39章 無限列車―其の壱
「…蓮華は嘘を吐く癖が直らないようね。もし喧嘩好きな大男が私に挑んできたらどうするの?蓮華が助けてくれるのかしら。」
そう言うと蓮華はハッとしてから眉尻を下げて謝った。
それを見つめる両親は微笑んでいる。
そうして幸せを噛み締めていた時、バッと照明が落ちた。
蓮華の悲鳴が聞こえる。
菫は何時の間にか隊服を身に纏い日輪刀を所持していた。
「皆、下がって!私が守るから!!」
突如現れた鬼は、最初に蓮華を庇った母親の背を裂いた。
「…っ」
菫は柄を握る手に力を込める。
「私が…守るから…!!」
次は鬼の爪をなんとか刃で受け止めた。
しかし力負けし、いとも簡単に弾かれる。
「あッ、ぅ…!」
そして爪は後方にいた父親の腹を裂いた。
「蓮華……、私の後ろに…、」
蓮「ま、守ってくれないじゃない…!お母様もお父様も動かなくなってしまったわ…!!」
鬼「本当だなぁ!妹の言う通りだ!!何の為に鬼狩りになったんだぁ!?家族をごみ屑のように捨ててまで隊士になったのに、お前は何も守れない役立たずじゃねぇか!!家族が死ぬのはみぃんなお前のせいだぜ!!!」
その言葉に菫は目を見開いた。
目は醒めない。夢は終わらない。
菫はその悪夢が無限に続くのではないかと思った。