第39章 無限列車―其の壱
「ごめん、ごめん…ごめんね……ごめん…、」
夢の中だと気が付いているのに涙は止まらず、動悸が収まることはなかった。
魘『これは俺が複数考えた筋書きのうちの一つ。まだまだあるよ。』
菫が打ちのめされていると、今度は清水家のリビングに移る。
「………。」
菫は家族と食事を取っていた。
(………皆、居る…。)
ぐるりとリビングに居る面々に視線を遣る。
両親も、妹も、使用人でさえにこにこと笑顔を浮かべ、家族は楽しそうに話に花を咲かせていた。
蓮「その時、お姉様ったら騎士様のように大男をなぎ倒してしまったのです!」
母「まあ、蓮華。嘘を吐いたらいけませんよ。」
父「そうだ。菫は体を動かす事が得意ではないと皆知っているぞ。」
皆の視線が菫に集まる。
菫は皆の元気な顔を見て震える息を吐いた。
蓮「…お姉様?」
蓮華に心配そうに顔を覗き込まれると、菫は口をきゅっと結びながら蓮華の頭を撫でた。