第39章 無限列車―其の壱
蓮「お姉様が誰にも言わず!身勝手に!私を捨てて出ていくから!!私はお姉様がやるべき事を全部やってきた!!全部!全部!!お姉様のせいよ!!」
「蓮華…ご、ごめんなさ、」
蓮「許されようとしないで!お姉様が出て行って立花家に大恥をかかせたから…お母様は自ら命を絶たれたわ…!!」
「そんな!!そんな筈はっ、」
蓮「お父様だってそのせいで気を病んでしまったのよ!気を病んで…酷い事件を起こしたわ…!『幸せそうに家庭の事を話すのが許せなかった』と、部下の…御家族を……幼い子供も全員に手を掛けて…!!」
「……お父様が…気丈なお父様が…そんな事をする筈…、」
蓮「お姉様。」
怖い程静かな声色にハッとして視線を上げる。
菫の息が止まった。
蓮華は自身の首元にナイフを突き付けていたのだ。
蓮「お父様もお母様もそうなって、私がどうなるのかは心配してくれないの?」
「ち、違うわ!心配に決まってるじゃない…!!」
蓮「私が今まで生きていたのは今の為よ。お姉様の前で、命を絶つ為。」
菫は目を見開くと急いで蓮華に向かって走った。
(私はどうなっても良いから、どうかこの子だけは…!どうか…!神様!!)
その願い虚しく蓮華の鮮血が菫の顔を濡らした。
(頸動脈が…!血が止まらない…!!)
「誰か!!誰か来て!!!」
そう叫んでも屋敷は静まり返っている。
手伝いの者も、そして、父親も母親も居はしないのだと思い知らされた。