第39章 無限列車―其の壱
そして時が飛び、鬼殺隊に入隊し、隠となり、杏寿郎の屋敷で働くことになった。
その時の自身が鬼殺隊にいる理由は、『敬愛する杏寿郎がいるから』。
只それだけであった。
杏「俺は君が好きなんだ。間違いなく、君が好きだ。」
屋敷を出ようとした菫に杏寿郎がそう言った。
「………………。」
記憶の蓋が開き、恋心を自覚してからその言葉を聞くと分かり易く頭が痺れた。
(……………そうだ、私は……彼を追って…彼に会いたかっただけだった。ずっと、ずっと慕っていた…。)
菫は震える瞳で真剣な表情の杏寿郎を見上げた。
「私もです…私も、昔から、」
蓮「どういうことなの…お姉様…!俊彦さんを私に押し付ける気なの…!?」
悲痛な声にハッとして振り返る。
気が付くと杏寿郎は消えていて、其処は清水家の自室になっていた。
「蓮華…、でも、あなたは確か幸せに、」
蓮「お姉様の代わりに道具にされるだなんて誰が望むのよ!!」
その激昂ぶりに菫は目を見開き、思わず後退った。
対して蓮華は距離を詰めてくる。