第37章 鬼を連れた隊士
実「おい、筋肉猿ゥ…煉獄に何してたんだァ……?」
天元は『筋肉猿って俺じゃないよな?』と言いつつ実弥から距離を取る。
実弥は天元が杏寿郎からも遠ざかったのを確認すると目の前にしゃがみ込んだ。
実「…お前……後悔しないようにしろよォ。」
短い言葉だったが、珍しい優しい声音からどうしてその様な言葉が出たのかはすぐに分かった。
杏「……君…………、」
言葉を探しているうちに実弥は立ち上がってしまった。
実「ん、うめェな。」
杏「な、」
握り飯を頬張る実弥を見た杏寿郎は慌てて下を見下ろした。
するとやはり菫の握り飯が一つ減っている。
杏「これは許し難いぞ!ただの握り飯ではない!菫さんの想いが篭っている!!」
そう眉を寄せるも、実弥の珍しい笑顔に握った拳の力が抜けていく。
実「今度はおはぎを持ってきなァ。」
優しい声音を聞くと杏寿郎は諦めたように眉の力を抜き、『…ああ、頼んでみよう!』とあっさり許してしまった。
耀「……。」
耀哉はそんな大きな声を奥まった部屋で微笑みながら聞いていた。
そしてその日、杏寿郎は耀哉から無限列車の任務を言い渡されたのだった。