第37章 鬼を連れた隊士
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杏(鬼は必ず人を喰う!)
杏「心より尊敬するお館様であるが、理解出来ないお考えだ!全力で反対する!!」
禰豆子の存在を黙認していただけでなく、それを柱の皆にも認めてもらいたいと言う耀哉に杏寿郎はそうきっぱりと言い放った。
天元、行冥、実弥、小芭内も同じ意見だ。
すると耀哉は元水柱の鱗滝左近次から禰豆子について頼まれたこと、本当に禰豆子が人を食べていないこと、そして左近次、義勇、炭治郎の首が懸っている事を伝えた。
杏(それは意味が無いだろう。)
同じ事を思った実弥が反論する。
杏寿郎も黙っていられず口を開いた。
杏「不死川の言う通りです!人を喰い殺せば取り返しがつかない!殺された人は戻らない!!」
しかし――、
耀「人を襲わないという証明はできない。しかし、人を襲うということもまた証明が出来ない。」
杏「!」
更に、耀哉は炭治郎が無惨と遭遇した事があるという爆弾を投下した。
だが、それは別の話だ。
炭治郎が利用価値のある存在だとしても鬼を見逃すという結論には至れない。
実弥はとうとう実力行使に出た。
稀血を使って自身を襲わせようとしたのだ。
杏(……………………………………。)
彼が稀血の中でも特別稀有な存在である事を知っていた柱達は目を見開いた。
杏(……人を襲わないとは本当なのだろうか。)
杏寿郎は鬼が稀血を前にそっぽを向くという信じ難い光景を凝視しながらそう思った。