第37章 鬼を連れた隊士
視線の先では目を醒ました炭治郎が自身達を見て目を見開いていた。
しのぶはそんな炭治郎に『どうして鬼を連れていたのか。』と優しく問い掛けている。
それを見た杏寿郎は口角だけを上げた。
杏「裁判の必要などないだろう!鬼を庇うなど明らかな隊律違反!我らのみで対処可能!鬼もろとも斬首する!」
その言葉に天元、行冥が同意する。
蜜璃と無一郎は黙っていたが特に反論はしない。
何時の間にか木の上に登っていた小芭内は『隊律違反をしているのは冨岡も同じだ。』と指摘し、きつい言葉を投げかけた。
しかし義勇は黙りこくり、炭治郎からきちんと説明を聞こうとしていたしのぶはどっちつかずな態度を取った。
場が収まるとしのぶは再び炭治郎に話を聞こうと穏やかな声色を出した。
すると、炭治郎は漸く自身と連れている鬼について語り始めた。
炭「鬼は俺の妹なんです。妹は鬼になったけど、人を喰ったことはないんです。今までも、これからも。人を傷付けることは絶対にしません!」
その言葉を小芭内と行冥が否定する。
炭「妹は!妹は俺と一緒に戦えます!鬼殺隊として人を守る為に戦えるんです!!だからっ」
そう言った時、木の箱を片手に持った実弥が庭へ現れた。
杏(…鬼はあの中か。)
杏寿郎が観察している前で実弥は箱を串刺しにし、そして怒りに怒った炭治郎に頭突きをされた。
杏(うむ、頭突きは見事だな。)
そう思っていると屋敷の中から独特な気配が近付いてくる。
杏「!」
九名はすぐに頭を下げた。