第36章 変化
杏「ああ、確かに鬼が居なくなれば俺は鬼殺隊士ではなくなるし、責務を全うするという目標も達成できるな!」
菫はその笑顔を見つめながらよく分からない温かい感情に包まれた。
「…………。」
杏「……菫さん?」
菫は杏寿郎の胸に手を当てて膝立ちになると、なんと杏寿郎の額に口付けを落とした。
「………………………………。」
杏「………………………………。」
先に何をされたのかに気が付いた杏寿郎がぶわっと顔を赤くさせた。
その赤い顔を見た菫は一拍遅れて赤くなり、後ろに勢い良く尻餅をついた。
「す、すみまっ、申し訳御座いません!!!」
菫は自身から襲っておきながら、慌てて壁際まで後退ると額を畳につけて頭を下げた。
杏「…いや、謝られるような事は…されていない。」
杏寿郎は確かめる様に自身の額を触っていた。
杏「…どうしていきなり口付けたんだ。」
そう質問しては危ないかも知れないと分かりつつ、そう問うた。
菫は恐る恐る顔を上げ、眉尻垂れた情けない顔を見せた。