第33章 誕生祝い
杏「では風呂に入ってくる!」
杏寿郎がそう言って立ち上がると菫も慌ててそれに続いた。
―――タンッ
杏寿郎の部屋の襖が閉まる音と共に、菫は自身の体の力が抜けた事にハッとした。
(……何で今ほっとしたの…?)
部屋に二人切りになったことで杏寿郎を意識してしまっていたとは認められずに眉を寄せる。
(確かに杏寿郎様は男性だけれど、あの炎柱様なのよ。)
そう思うともやもやとした気持ちが湧いてきそうになって口をきゅっと結んだ。
(そもそも私は恋愛をする為に鬼殺隊に入った訳じゃない。)
杏「……菫さん。」
(私が首を縦に振らなければいずれ杏寿郎様も他の御方の元へ向かわれるわ。私がしっかりと自分を保っていれば何も問題は無いのよ。)
杏「菫さん。」
(杏寿郎様は確かに意志の強い御方だけれど、切り替えも早くていらっしゃるからきっと、)
杏「菫さん!!」
菫は杏寿郎の大きな声にビクッと身を震わせた。