第31章 二度目の告白
菫は真っ赤になっていた。
目が合うと恥からじわりと涙が滲む。
「あの、もう…、」
杏「………………………………。」
杏寿郎は菫の顔を見て頭が痺れるのを感じた。
このまま屈めば本当に落としたい場所に口付け出来てしまう。
その事に気が付いた杏寿郎の喉がごくりと鳴る。
「……煉獄様………。」
縋るような声が聞こえた。
それにつられるように口を開く。
杏「君は今俺に口付けられたら嫌だろうか。」
菫の反応を知りたくなった杏寿郎はストレートにそう訊いた。
「………………。」
案の定、菫は固まった。
杏寿郎の想いでさえ見ないようにしていたのに、正面から告げられ、頭に頬擦りをされ、耳を食まれた直後であったからだ。
「…………くち、」
なんとか杏寿郎が言った内容を復唱しようとしてみるも、思い出しただけで頭から湯気が出そうであった。
杏寿郎はすぐに返事が来なくても動揺している菫を見ただけで心が満たされる気がした。
左腕で肩を抱いたまま右手で菫の長い髪を梳いてみる。
只々肩を跳ねさせるだけの菫は酷く無防備だった。