第31章 二度目の告白
杏「関係を迫らないという約束は守るが、俺はまだ君を慕っている。そして女性に慣れる為に触れていたというのは嘘だ。意識してもらいたくて君に触れていた。」
腹を括った杏寿郎を、菫は大きな目で見つめた。
「……それは…………、」
菫は何と言ったら良いのか分からず固まってしまった。
杏寿郎はそんな菫の手を引き、腕の中に閉じ込めた。
最近は随分と慣れてきていたのに菫の体は強張っている。
杏寿郎はその緊張を少しだけ嬉しく思った。
何とも思われないよりはマシだと思ったのだ。
「れ、ん…獄、様……。」
菫が無意識に名で呼ぶと、杏寿郎はもっと腕に力を込めた。
髪に顔を埋め、そこに口付けを落として頬擦りをする。
時たまされていた事であったが、菫はそれ等には未だに慣れていない。
慣れていない上に今は余裕も無い。
それにも関わらず、杏寿郎は目を細めると菫の耳を食んだ。
「……ッ」
菫は初めて杏寿郎の胸を強く押して抵抗した。
杏寿郎は菫を離そうか、離すまいか迷った挙句、少しだけ腕の力を抜いて菫の顔を覗き込むことにした。