第31章 二度目の告白
(…………。)
手を動かしていても先程の二人の様子が頭に浮かんでしまう。
(……煉獄様はもう女性に触れる事に慣れたのだわ。)
そうして知らぬ間に杏寿郎は菫に触れる言い訳を失った。
―――
蜜「本当にお世話になりました!では私は屋敷に戻ります!菫さん、今度お礼をさせてくださいね!!」
「お気になさらないで下さいませ。」
菫の対応はやはり固かったが、それでも柔らかい笑みが浮かんでいた。
蜜璃は菫がどういった女性なのかを把握し、『そんな頑なな菫さんも素敵だわ…!』と独り言を言ってから手を振った。
そうして蜜璃が見えなくなると今度は杏寿郎が改めて菫を労った。
その時、杏寿郎はなんとなく菫の空気に違和感を感じたのであった。
「炎柱様。」
杏寿郎が素振りをしている所に浴衣姿の菫が就寝の挨拶をしに来た。
杏「……。」
杏寿郎は蜜璃が帰っても菫が距離のある呼び名を使った事に嫌な予感を覚えた。