第30章 三人の新人
天「あいつ何も分かってねぇな。」
し「そうですねえ。でも清水さんも意識してくれるかもしれませんよ。」
それを聞くと天元は顎に手を遣って眉を寄せた。
天「清水の場合、そういった感情が芽生えても身を引くんじゃねーの?むしろ甘露寺と上手くいくように頑張りだしたりとかしそうじゃん。」
し「あー…。」
しのぶは容易に想像出来てしまった。
しかし、時既に遅し。
杏寿郎は蜜璃をおんぶしていた。
杏「では、俺は甘露寺の腹を満たしてやらなくてはならないので先に失礼する!!半年後にまた会おう!!!」
蜜「こんな格好ですみませんん…!またお会い出来たらお話ししてくださいー!」
まだ座敷に残っていた天元としのぶ、小芭内、実弥は、派手な髪色で明るい空気を持つどこか似た二人にお辞儀をしたり手を上げたりして挨拶をした。
蜜「お食事も楽しみですが、菫さんに会えるのも楽しみです!どんな子なのかしら…!」
杏「その事についてなのだが、俺の片想いなので好いているという事は秘密にしていて貰いたい!そして年齢は君の三つ上だ!!」
それを聞いた蜜璃は頬を赤らめながら嬉しそうな顔をした。
蜜「大人の恋なのね…!素敵だわ…!!」
杏寿郎が蜜璃を屋敷へ連れて行こうと思ったのは純粋に腹の心配をしたからだ。
焼き餅を焼かせたかった訳ではない。
他意があるとするのなら、『菫は蜜璃のような歳下の女の子を可愛がるのでは。』という思いが僅かにあったくらいだ。
杏寿郎は蜜璃の食い付きの良さに笑い、修行時代には微塵もしてこなかった恋愛話を始めた。