第30章 三人の新人
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蜜「うう…限界だわ……。」
漸く柱合会議が終わり、それぞれが立ってその場を去ろうとする中、蜜璃だけが座り込んだままになってしまっていた。
杏「事前に食事を用意しておくように伝えておくべきだったな。すまない、甘露寺。」
蜜「師範んん……。」
蜜璃が泣きそうな顔をすると杏寿郎は困った様な笑みを浮かべた。
蜜璃の大食らいっぷりを知っていたからだ。
し「困りましたね。もう日も暮れますし緊急の任務に備えてなるべく早く動けるようにしておかなければなりません。」
蜜「うう…、」
蜜璃がぐにゃりと畳に倒れ込むと杏寿郎はきゅっと口角を上げた。
杏「では俺の屋敷へ来るか!菫さんなら俺が帰る頃に合わせて食事を用意してくれる筈だ!!」
し「……。」
しのぶは呆気に取られた顔をした。
前回の柱合会議の後に自身と天元がお邪魔した時、明らかに菫が歓迎していなかったからだ。
しかし、蜜璃は食事と菫という今最も求めているワードに目を輝かせてしまっていた。
し(…止めるのは難しそうですし、清水さんにとってもこれが良い刺激になるかもしれない…。)
そう思っていると、昼過ぎにひと悶着した為に黙っていた天元が寄って来る。
そして杏寿郎には声を掛けずにしのぶに耳打ちをした。