第29章 煉獄様の誕生祝い
照「あっ」
「私と煉獄様はそういった関係ではありません。今も、これからも。」
そう言いながら商品を詰め終わった風呂敷を両手で抱き、お辞儀をしてからくるりと背を向ける。
照「お姉様!お姉様は炎柱様の事をどう思っているのですか!?」
その言葉に菫は振り返る。
そして照子から視線を下げて少し俯くと風呂敷を抱え直した。
「敬愛しています。初めてお会いした時からずっと。これからも変わりません。」
照子は菫が未来についてもやたらと強調している事に気が付いた。
照(変化を怖がっていらっしゃるのかしら…。でも、もしそうなら今関係が変わってきているという可能性が高いわ。)
そう思いながら横を向いた菫の簪を見つめる。
それはどう見ても高価な物であった。
照「これからの事なんて誰にも分かりません。決め付けるのは良くありませんわ。」
その言葉を聞いた菫は圭太にも同じような事を言われたのを思い出した。
「…………ではまた薬草が切れそうになったら伺います。」
照「あ…、」
照子は結局菫を満足に説得出来ず、もどかしそうな声を上げると勘定場に突っ伏したのだった。