第29章 煉獄様の誕生祝い
「その方々なら知り合いですらありません。」
照「えっ」
厳選した三人だったのか、照子は固まった。
照「……まさかとは思いますが、菫お姉様がお仕えしている鬼狩り様って…、いえ、でも二人切りで生活している筈ですし流石に女性で…、」
「私のご主人様は炎柱である煉獄杏寿郎様です。」
照「柱!?」
照子は目を見開き身を乗り出した。
照「柱様がこの街にいらっしゃるのですか!?初めて知りました!どの様なお方なのですか!?」
照子の良い反応に菫は嬉しそうな顔で微笑む。
「ええ、強くお優しいお方です。簪は煉獄様から頂いたの。…仕事への褒美として。」
菫はその言い訳が苦しい事をきちんと自覚していたが、それでもそう言い切った。
案の定、照子はころころと表情を変え、喜べば良いのか、怒れば良いのか混乱しているようだった。
照「そっ、あの、お姉様……、それは…どう考えても……っ」
予想通りの反応に菫は困った様な微笑みを浮かべ、照子の手にある紙袋を取り戻した。