第29章 煉獄様の誕生祝い
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照「今日こそ教えて下さいな。」
「何をでしょうか。」
菫は相変わらず少ない量の薬草を買い、風呂敷にそれを包み始めた。
すると照子が一つの紙袋を掴んで菫の邪魔をする。
照「その簪をお姉様に贈った殿方の事です!お姉様ったら付けておきながらお相手がいないだなんて嘘を仰るんだもの。」
「嘘なんて言っていないわ。」
菫は敬語を崩すと少し心外そうに眉を寄せた。
すると照子も眉を寄せて口を尖らせる。
照「お姉様は…その、鈍感だと思いますわ。殿方がその様な贈り物をするのは…、」
照子は言葉を切ると一度口を噤んで菫から目を逸らした。
照「…とにかくどなたなんですか?お優しい斜向かいの正之さんですか?それとも花を卸しに来ているお方かしら…お顔が整っていると噂になっていますわ。櫻月堂の息子さんは駄目ですよ。私の友達も泣かされましたもの。」
「………………。」
街の男について詳しくない菫は少し困った様に首を傾げた。