第22章 認めた感情
「……圭太さんが想像するような理由ではありません。煉獄様が家ではそう呼ばれたいと仰られただけです。」
圭太は杏寿郎の方にその気があるのではと期待した。
圭(炎柱様ほど好感度が高い方ならば、流石の菫も頷くんじゃないか。)
そう思うと圭太は満面の笑みを浮かべる。
圭「そうか!そうかそうか!暮らしぶりについて詳しく教えてくれ!」
―――
杏「ん…。」
目が覚めた杏寿郎は知っている天井を見つめ、自身の負傷を思い出した。
杏(いつもより早めに起きてしまっただろうか。)
そう思いながら体を起こし、ベッドを降りる。
そして手洗いに行こうと戸に手を掛けた時だった。
圭「菫!話の途中だろ!」
男が菫の下の名を呼んだ。
杏寿郎は戸を開いて廊下の先に目を遣る。
「終わったと思います。」
杏寿郎の視線の先で菫は慣れたように返事をした。
それを見た途端、熱く感じる程に強い感情が杏寿郎の胸を焼いた。
目を背けたいその感情は、心の真ん中に居座って退いてくれない。
今までの様に無かったことに出来ない。