第21章 右腕の代わり
「煉獄様…。」
杏寿郎は珍しく弱々しい声を出した菫を目を見開いて見つめた。
菫は杏寿郎と目を合わせると膝に置いた拳をぎゅっと握り締める。
「此方で療養される間、ずっとお側に置いて下さいませ。離れたくありません。お願いします、どうか…。」
杏寿郎はそんな風に自身の意見を強く言う菫を見て嬉しくなった。
そしてすぐに笑顔を浮かべる。
杏「胡蝶に聞いてくると良い!俺からも頼むと伝えてくれ!胡蝶は頼んでも食事を一人分しか用意してくれないんだ!!」
「畏まりました!炊事場も貸して頂けるよう頼んでみます!」
初めて聞いた元気な "畏まりました" に杏寿郎は再び声を上げて笑う。
すると、その大きな笑い声を聞いたしのぶが微笑みつつ額に青筋を浮かべて病室に入って来たのだった。