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夜空に輝く星一つ。【鬼滅の刃 短編 中編 】

第2章 風 の 憂 鬱 [不死川 実弥]




部屋に戻らなけりゃ、こいつがもっと冷えちまうのに、煉獄に…渡したくなくなっちまう。

そんな気持ちを抑え、杏寿郎へと引き渡した。

長椅子に寝かせられ、頬を杏寿郎の手で包まれたはなは身をよじり、気持ち良いと言わんばかりに吐息に似た声を漏らした。

『杏寿郎さまぁ…』

潤んだ瞳で杏寿郎を捉え、名を呼べば自分が呼ばれた訳でもないのに熱が上がってしまう。

また瞼を閉じてしまったはなに羽織掛け、手を中に入れてやる杏寿郎の姿は慣れており、いつもそのように床でしてやっているのではないか…と邪推すらしてしまう

そしてその様子を宇髄が興奮した様子で覗き込んでいる


『なんだよ…今の!煉獄、お前毎日あんなん見てんの?』


この時ばかりは宇髄と同意見だった。


煉獄、お前…いつもあんなはなみてんのかァ…?


俺は…堪えられねェ


はなが起きるまでゆっくりして行けと伝え、自身の定位置であろう椅子に腰掛けた宇髄に、突然呼ばれた。

『おい、不死川!』

『んあっ?はっ?』

はなの様子に気を取られ、変な返事をしてしまった。

『なんだぁ?お前ぼーっとしやがって。今頃酔ってんのか?』


俺は酔ってんのかァ?


そう思う程に熱は上がる一方だった。

『お前さんは協力してくれんのか、ってことをまだ聞いてねぇ。煉獄は良いと言ってくれた。派手に有難てぇ。』


あぁ…煉獄は行くんだなァ

遊廓か。上弦に会えるかもしれねぇんだろォ?

行くに決まってらァ

『あぁ、行ってやらァ。』

威勢よく返事をすると、宇髄も決まったな!と言うように手をパンと叩いた。

それからすぐはなは目を覚ました。

杏寿郎の羽織を握り、見つけてここまで連れてきてくれた不死川と聞いたはなは不死川を見つめた。

『不死川様…ありがとうございます。また借りができてしまいましたね。今度お礼を…」

『んなこと、どうだっていいんだァ!おめぇは…』

おめぇは…

この先が言えない。

おめぇは笑ってりゃいい。礼なんざぁいらねぇんだァ

不死川はこの言葉を飲み込んだ。

その後、眠気の飛んだはなが昼餉を…と食事の支度をしてくれ、食した後に解散となった。

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