第9章 凪の奥の激情[冨岡義勇]
義勇さんのモノが全て入った時、痛みももちろんあったけれど、それ以上に一つになれた喜びが優っていた。
義勇さんは柔く動いてくれていたけど、我慢していることは眉間の皺を見れば一目瞭然だった。
無骨な指で私の胸と先端に何度も快感を与えてくるし、寄せ来る快楽に息も絶え絶えになっているところに容赦なく口づけきて、口内を掻き回す。
義勇さんがこんなにも激しい人だったなんて知らなかった。
「考え事か? 余裕があるのだな」
「違いますっ! 義勇さんの事を考えてたんです」
見上げた先にある綺麗な顔。冷静で凪いだ水面のような瞳が、今はその奥に激情が宿っている。
綺麗に筋肉のついた肩には血管が浮き出ているし、いつも涼しい顔している額には玉の汗をかいている。こんな義勇さんはきっと褥の中でしか見られない。
「そうか。いずれにせよ考える余裕があるなら手加減はいらないな」
そう言って、義勇さんは一気に腰を打ちつけてきた。
「あっ! んっ…あぁっ、ぎ…ゆっ」
「はな、顔を見せろ」
こんな快楽に狂う顔なんてとても見せられない。腕で顔を覆ったいたのに、いとも簡単に解かれてしまった。
義勇さんの長い髪が、抽送のたびに揺れて恐ろしいほどの色香を放っている。
「くっ…」
私の首筋に唇を這わし、肌を吸う義勇さんから時折洩れる吐息混じりの声は、繋がっているところを疼かせた。
衰えることのない抽送は、速度を上げて私を快楽の頂へ連れていく。
「ぃやっ…もう…あぁんっ…ぎゆ…うさん…」
「はな…」
肌のぶつかる音を響かせて、義勇さんの欲は私の中に爆ぜた。
「うっ…」
くたりと体に倒れこむ義勇さんの吐息が耳にかかって、義勇さんのモノを締め付けていることに自分でもわかっていた。
でも、義勇さんの肌と私の肌がぴったりと重なって、繋がっていたところは恥ずかしいくらい濡れている。義勇さんの香りにあてられたせいか、果てたばかりだというのにまだ義勇さんが欲しかった。
「……締めすぎだ。足りなかったのか」