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夜空に輝く星一つ。【鬼滅の刃 短編 中編 】

第7章 promise[煉獄杏寿郎]



「こんな小さいのに、力強いのだな」

「命の強さを感じますね」

「そうだな。……この子を産んでくれてありがとう」

「お礼を言うのは私のほうです。この子を残してくれて、ありがとうございます。この子がいるから私は一人じゃない。生きていける」

「君が一人でないと知って俺の心残りはなくなった。それともう一つ、はなが俺に言わんとしていた事も知ることができた」

「杏寿郎様はここにずっといられないのですか?」

「俺も良くわからないのだが、ここに居続けることは難しいようだ」

 もしこれが夢であれば醒めてしまうし、何かの拍子に時空を超えたのであったとしたら、また戻されてしまうであろう。

「また…お別れをしなければならないのですね」

「だが、今回の別れは永遠の別れではない。そう確信がある。俺のいる世界で、君とまた逢える気がしてならない」

「本当ですか? また私を見つけてくれますか?」

「必ず探し出す!! 約束する。俺は君を探し続ける」

「あっ! そうだ! それなら…」

 はなは思い出したように立ち上がり、隣の部屋へと行ってしまった。
 残された俺は、小さな目と見つめ合ったままハナの気配に意識を向けた。
 はながいて子がいて俺がいる。その事がどれほど幸せなことか。もう少しこの幸せを味わいたい。
 一日、いや半日、一時間でも良い。
 君に話したいことがたくさんあるのだ。はなを抱きしめて俺の想いの丈を伝えたいのだ。そしてこの子の体温を感じていたい。
 だから頼むもう少しだけ──。

 だが、俺には時間がない。
 遠くで雷鳴が聞こえる。恐らくこの雷鳴と共にまた元いた世界に戻ってしまう。
 雷鳴が近づくたびに、俺の体は透けて薄くなっている。
 そろそろこの温かい命も布団に下さなければならない。
 
「すまないな。もう少し抱いていたかったのだが、俺にはもうそれができない。小さな君に俺の想いを託して良いか?」

 まだ小さな君は、俺の顔をじっと見つめていた。
 きっとこの日の事は記憶に残らないかもしれない。だがはなのことを託せるのは君しかいないんだ。

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