第2章 王子様の秘密
「ほんとへんたい!、きもちわるい!!さいてい……!」
こんなこと言って、こいつの気が変わるとは思えなかったけど。このまま成り下がるのも気がおかしくなる気がしたからほんの少しの抵抗。
「あいかわらず口悪いね。そんなとこも可愛いんだけどさ」
やっぱり。なんのダメージもない。私が今許されているのは言葉だけだっていうのに。腕も足も動かせないから。
「ねえ、そろそろ抱いていい?俺ムラムラしすぎて死にそーなんだけど」
「勝手に死ねばいいじゃん。私には関係ないから」
流されたら終わり。精一杯睨みつけるけど、攻撃になってるのかなんて私には分からなかった。
「そそるんだよねその目。俺のこと煽ってる?わざと理性壊そうとしてんの」
「そんなわけない、からあ…………!」
急に怖くなった。何をしてもこいつには適わないってわかって。これからされる事を想像しただけで死んでしまいそう。
「ごめん。もう無理」
「やだっ、!!あれこわいの、………!」
「怖いよねえイッても、イッても終わんないの。気持ちよすぎて怖いねえ」
この前の夜を思い出す。何回も大きい波に呑まれて抗えなかった。怖かった。理性を失った動物みたいに私を貪る霧島が。
「すっごい可愛かったよ。いきたくないって泣いてる澪ちゃん。もう1回見せてよ。いっぱいおねだりして、俺のために泣いて」
黒い渦が霧島を覆う。私もそれに飲まれてしまうと思った。目にも光は宿っていなくて、怯えた無力な私だけが映っている。
「好きだよ澪。だいすき」
「うっ、あ、それきら、い……………!」
「好きの間違いでしょ」