第2章 王子様の秘密
お昼休み。友達のあやかちゃんの席に移動してお弁当を食べる。
ちょうど隣の人は席を外しているので机を借りることにした。(許可はとった)
「良かったね澪ちゃん!あの霧島くんと隣の席なんて!」
なんだろう。もうこの言葉が今では嫌味にしか聞こえない。
昔の私だったら喜んでたかもしれないけど、彼の本性を知ってしまった以上それは難しい。
「全っぜん良くないよ。むしろ変わって欲しい」
「えー?なんで」
「………それは言えないけど」
友達のあやかちゃんは不思議そうな顔をしている。言いたいよ私だって!!でもね、監視されてる気がするんだ。あいつに。
すっごい視線を感じる。突き刺さるような冷たい視線。
ちらっと彼の方をむくと案の定私の方を見ていて目が合った。にっこり営業スマイルを向けられるわけなんだけど、今となっては気味が悪い。
『絶対言うんじゃねえぞ』って、瞳が物語ってる。怖くて私は身震いした。
「もしかして一線越えちゃったの…………?」
「ううん?ないない。それだけは絶対ないから安心して」
とんでもない勘違いをされちゃ困る。
「だよねえ。澪ちゃん嫌いだもんねそういうコ・ト♡」
わかってるじゃんあやかちゃん。
「そうだよ。あるわけない」
ほんとに嫌い。女の子で遊ぶやつなんて尚更だ。だからあんな霧島とかいう男とかもってのほかだ。コソコソ女の子と遊んで、ほんっと最低。
「まじできらいだもんアイツ」
「ほんと何があったの?」
もうだめだ。言いたくなっちゃった。仲良いあやかちゃんには言ってもいいよね?
「碧ほんとやばくてさ?あんな顔してるけど………」
今あいつは私のこと見てない?少し気になってちらっと後ろの方を見た。
すると、タイミング悪く私の方を見ていて。人差し指を口の前にあてて『しっー』ってやってる。
なんか口が勝手に閉じちゃった。
「ごめん。やっぱ言えない」
「きになるのにぃ」
ごめんあやかちゃん。今度あいつのいない所で話すね(泣)