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裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第16章 東京卍リベンジャーズ・佐野万次郎




そもそも、俺の存在は
アイツの痛みの元凶ですらなかった



イザナの望む幸せも
イザナの望む世界も
初めからどこにも無くて

たとえ、どんな手段を使っても
絶対に手に入れられないものだった


それを
アイツ自身は知っていながらも
心の底から求めていた




結局

黒川イザナを救える者など
この世界に誰も居なかったのだ








俺がそのことを理解した直後に
イザナは息を引き取ってしまった


呪いのような無力感と喪失感を残して逝ったのは
せめてもの復讐だったのだろうか





" 黒川イザナ " のことを思い出す度
悲しさとも、悔しさとも違う
言葉に表せない気持ちに包まれた


純粋で聞き分けのない子供のようなアイツの
気高く神聖な魂の領域

それを軽々しく侵してはならない事だけは
俺にも、よく分かっていた





鶴蝶の口から、イザナの夢の話を聞いた時
アイツの意志を継いだ新しい組織を作ろうと決めた



それが

あの時、何も出来なかった俺や
アイツを慕っていた奴らの救いになると思ったのだった








結成した組織の名は " 梵天 "



元・天竺組からは「鶴蝶の生き様を見届けたい」といった灰谷兄弟と望月莞爾も加わり


初代黒龍で " 軍神 " と呼ばれていた
元・梵の明石武臣が、後に参謀のポストに就いた




" 日本の闇を全て牛耳る "


黒川イザナの精神に忠誠を誓う為
アイツのトレードマークだったピアスの絵柄を
俺たちは全員、身体に刻んだ




裏切り者を容赦なく排除していくうちに
梵天は次第に " 巨悪 " と呼ばれ、誰からも恐れられる組織になっていった


闇の世界に身を置き、嘘と暴力と薬物にまみれた生活を送るようになってからも

俺は
レイナと交わした約束だけは律儀に守っていた




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