第16章 東京卍リベンジャーズ・佐野万次郎
『………一虎が…』
レイナの口からその名前が出てきて
フッと我に返る
中1になるまで
場地は俺やドラケン達に一虎を紹介しなかった
それが何故なのかは分からないけれど
アイツなりに考えてのことだったのかもしれない
場地は俺達の知らないところで一虎と長い間つるんでいた
その時にレイナを会わせたのだろう
真一郎にも懐いていたレイナが
一虎とも知り合いだったことが分かって
俺は正直、複雑な気持ちになった
「……」
『……夏休み明けて少し経った頃…" 年少出た " って圭介に連絡してきたみたいなんだ………それから圭介は…私とあんまり会わなくなった。……たまに会った時も…何か、考え事ばっかりしてて…』
「…………そっか……」
言葉が続けられなくて
黙ってしまった俺に
レイナは小さな声で聞いた
『……万次郎……教えて……………どうして…こんな事になったの?』
あまり気は進まなかったけれど
こうなった理由を知りたいというレイナの気持ちが理解できた俺は
なるべく色々な事を思い出すようにしながら、彼女に話して聞かせた
場地が一虎に背中を刺された時のことを伝えた時
彼女はとても悲痛な表情を浮かべた
今にも泣き出してしまいそうな彼女に
「ここまでにするか?」と言葉をかける
『…ううん、大丈夫。……私…ちゃんと知りたい…』
「……」
『………おばさんがね………圭介が自分でお腹を刺したらしいって…警察の人に言われたって言ってたの…』
「……」
『……それ……本当、なの?』
「………………本当だ…」
『…どうして?………どうして圭介は…そんな事…』
「…………それは…」
これまでのことを詳しく思い返しながら
レイナに話をしているうちに
俺は
恐ろしさのあまり目を背けていたある事実を
真正面から受け止めざるを得なくなった
あの時
一虎を殴り殺そうとしている俺を止めるために
場地は自分で自分の腹を刺した
そう
場地が死んだのは
俺のせいだった…