第16章 東京卍リベンジャーズ・佐野万次郎
『…ねぇ、万次郎…………圭介…まだこの辺に居るかな…』
「…………ぇ…」
『……ここで一生懸命願ったら……現れてくれると思う…?』
「……」
『…………私………圭介に伝えたい事があるんだ…』
その言葉を聞いた俺は
心の中がシンと冷えるのを感じた
(……そっか………やっぱりオマエ…場地の事が好きだったんだな…)
「………こんな所にアイツが居るわけねーだろ。…バカかオマエは…」
『……万次郎は……そう思ったからここに来たんじゃないの?』
「……っ…うるせぇ。………オマエと一緒にすんな」
『……』
「………………帰ンぞ…」
俺は半ば強引にレイナの腕を引き
廃車場を後にした
メットを被せて単車の後ろに乗せ
エンジンをかける
そのまま送る気になれなくて
でも
他に行くあてもなくて
結局、自分の家へ連れてきた
自宅の庭に建てられた、倉庫のような建物
真一郎が生きてた頃、バイクの整備に使っていたこの場所を
俺は自分の部屋にしていた
電気をつけ、奥にあるソファに腰を下ろす
「…座れよ」
「…………おじゃま…します…」
レイナはゆっくり近付いて来ると
俺の隣に浅く腰掛けた
・
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「なぁレイナ、オレのモンになってよ」
小学生の頃、俺はことあるごとにレイナにそう言っていた
『もぉ〜万次郎!そーやってすぐ人の事からかうの、いい加減やめてよね』
「からかってなんかいねーよ」
『ハイハイ…あ、アッチで圭介が呼んでるみたい。万次郎も早く行こ〜よ♪』
「…………ハァ……分かったよ…」
普段、場地と2人でくだらない冗談ばかり言っているのが災いしてか
レイナは俺の告白をちっとも本気にしてくれなくて
いつも笑顔ではぐらかされてしまうのだった
俺は
長い間ずっとレイナに惚れていた
違うクラスだった彼女が、先に習い始めていた場地の紹介でウチの道場に通うようになってから
3人で遊んだり、色々な話をしたり
ドラケンや三ツ谷と知り合ってからは
一緒の場に、何度か連れて行ったこともあった
同じ時間を過ごせば過ごすほど
俺はどんどんレイナに惹かれていった