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裏夢・短編 詰め合わせ【東リベ etc.】R18

第16章 東京卍リベンジャーズ・佐野万次郎





ひとりになった俺は
自宅へは帰らず、廃車場へ向かった




月明かりにボンヤリと照らされた真夜中の廃車場は
抗争をしていた時とは打って変わって静まり返っていた


入り口に単車を停め、中へ入る

警察の調べはもう済んだのか
ロープなどは貼られていなかった



俺は記憶を辿り
あの時、場地が倒れていた場所へと近付いていく


痕跡を消すように
その辺りには広く水が撒かれていて

地面が真っ黒に湿っていた


「……」





口から血を吐いて倒れている場地の姿が
ずっと頭から離れない

あの恐ろしい光景が
現実の出来事だと認めたくなくて


「……場地…」


名前を呼んでみても
返事は返ってこなかった






ジャリ…




背後から気配がして
振り返ると

見覚えのある小柄な影が
こちらを見つめていた


「……レイナ…」

『………万…次郎…………そこ…なの…?……そこで圭介は…』

「……………あぁ…」




レイナは
場地の幼馴染だった

ふたりは母親が友達同士で
赤ん坊の時からの仲だと大昔に聞いたことがあった


小1の頃からウチの空手道場に通っていて
稽古の後には、場地と3人でよく遊んだ

けれど
中学に上がると、彼女はいつの間にか道場を辞めていて
家の都合で引っ越しをした場地が中学を転校してしまった後は
俺とは特に交流も無くなり
たまに学校で会った時に、挨拶をする程度の関係に変わっていった




レイナはヨロヨロと俺の側に近付いてくると
黒く濡れた地面を見下ろした


『……』

「…オマエ、ひとりで来たのか?…よくここが分かったな…」

『………夕方……おばさんから連絡もらって…すぐ圭介の家に行ったの。………夜まで待ったんだけど……圭介の身体…今日はまだ警察に返してもらえないみたいで…………それで…帰る時にこの場所のこと聞いたんだ…』

「……………は?……それからずっと居たのかよ…」

『…ウン…』

「……」



悲しげに俯く横顔は
記憶の中の明るい笑顔とはまるで別人のようだった






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