第16章 東京卍リベンジャーズ・佐野万次郎
次に覚えているのは
御守りを拾い上げた時だった
東卍が結成した日、場地に預けた御守り
それを見て話をしている途中で
パトカーのサイレンが聞こえてきた
「…オレは場地と残る……みんな行ってくれ……オレの起こした事だ…自分でケジメをつけたい…」
「……分かった…」
「……………マイキー………許してくれなんて言えねぇ………真一郎君の事も…場地の事も……一生背負って生きていく…」
「……」
頭を下げた一虎と
倒れたまま動かない場地に背を向け
俺達は廃車置き場を離れた
サイレンが聞こえなくなる所まで単車で走った後
ケンチンと俺は武蔵神社へ向かった
あの場で解散をしたはずなのに
散り散りに逃げていた隊員達が
示し合わせてでもいたかのように集まってくる
皆、青い顔をして俯いていて
すすり泣きみたいな声が聞こえる他は
誰も口を開かなかった
どのくらい時間が経ったか分からない
ふと
ケンチンの声がすぐ近くで聞こえた
「…マイキー……もう一度、解散の号令かけるか?……もう夜中だ…」
俺が頷くと
すぐに副隊長の声が響いて
隊員達は帰って行った
ひと気の無くなった駐車場
隣同士並んだバイクに跨って、ケンチンが言った
「…マイキーん家の前通って帰るワ」
「……大丈夫だよ……ひとりで帰れる」
「……………そうか…」
俺達は
神社の駐車場から大通りに出た
3つ目の信号で止まった時
前を見据えている俺に、ケンチンが聞いた
「………マイキー………本当に…大丈夫か…?」
「……ウン…」
「……………分かった。…何かあったらすぐ電話しろ」
「…………ウン…」
「……」
信号が青になると
「ちゃんと眠れよ。…オレからは、昼過ぎに連絡する」と言って
ケンチンは渋谷駅前方面へと曲がっていった