第15章 東京卍リベンジャーズ・黒川イザナ
待ち合わせの日
約束の橋の真ん中で、イザナが欄干にもたれていると
時間ピッタリにレイナが現れた
『ゴメンね〜、待った?』
「……」
手を振りながら小走りで近付いてくる彼女を見つめていると
不思議そうに顔を覗き込まれる
『黒川クン?』
「……ぇ…」
『…どうかした?』
「………ぁ……ウウン…」
偶然に再会したこの間と
時間と場所を決めて待ち合わせた今日とでは
一緒に過ごす意味が違うような気がする
そんな事を考え出してから
無性に落ち着かない気持ちになっていた
(……ヤベー……何だか意識しちまう…)
『…?』
「……な、何でもない…………行こっか…」
『ウン♪』
イザナは目の前に停めてあった単車にまたがると
レイナにメットを差し出した
『…ぇ……このバイク…黒川クンのなの?』
「そうだよ。……後ろ乗って?桜木町の方まで行こう」
メットのアゴ紐を止めながらそう言ったイザナに
レイナは瞳をキラキラさせて頷いた
中学生になると
真一郎にせがんで単車の乗り方を教えてもらった
愛車は中古のCBR400F
後ろに女の子を乗せるのは初めてだった
連れてきたのは
メイン会場があるエリア
三日月型のホテルの傍に単車を停め
水辺の方へ歩いていく
花火の時間が迫るにつれ
この地区には人が押し寄せてきていたが
建物のかげになるこの辺りに
ひと気は無かった
『広場の方、人がすごくて今からじゃもう入れなそうだよ……部活なんてサボっちゃえば良かった…ゴメンね』
「…大丈夫。もっと良い場所があるから」
イザナはそう言うと
" 関係者以外立ち入り禁止 " のロープを越えて、桟橋の方へ階段を降りていく
『……黒川クン?……そっちは入っちゃいけないんじゃ…』
「…ホントはね……でも平気。何度も来てるから」
『…ぇ…』
ロープの前で立ち止まっているレイナを見て
イザナは途中まで降りた階段をもう一度戻ると、右手を差し出しながら言った
「…暗くなってきたから…引っかからないように気を付けろよ…」
『……ぁ…………ウン…』
レイナは少し驚いたようにイザナを見つめると
差し伸べられた手に自分の指先を重ねた