第1章 ※笑顔の裏側
明「いつの間にしたんだよ。……婚約なんて。見合いだってずっと嫌がってただろーが。」
「違うの。ずっと話していた煉獄家のご子息が申し入れを受けて下さって…、」
明「は!?見合いに行きたくないって言ってた理由そのものが解決しに来てくれたのかよ!」
清宮はそう言って興奮する明夫の口を再び両手で覆い、睨みをきかせた。
「鬼殺隊の人には知られたくないの。杏寿郎さんは……ここでは特に特別でしょ。」
そう言われると明夫は再び頷いて手を退かせる。
明「すまん。だってお前…、小さい頃から慕ってたって言っても会ったの一回だけだって言うし、相手は鬼殺に命捧げてそうな人だし、見合い話もダメ元で出してるって言ってたしよ…。上手くいくなんて……、」
呆然とそう言いながら明夫は『ん?』と首を傾げた。
明「じゃあ何で溜息なんてついてんだよ。」
「……………………。」
明夫の質問に清宮は視線を逸し、事後処理が終わったと思われる隠の元へ歩き始める。
明夫は清宮の話しそうにない態度を見ると困った様に眉尻を下げたがすぐに後を追って隠達を労った。
―――
杏「鬼殺隊を抜ける気は無いのか。」
「…………抜けたくありません…。」
杏「そうか。いや、君の意見を尊重しよう。」
通された煉獄家の一室で清宮は婚約破棄されるのではと少しびくびくしながらそう答えたが、杏寿郎は呆気無く引き下がった。