第1章 ※笑顔の裏側
―――
「はぁ……。」
合同任務で鬼を狩り終わった夜中、清宮は無意識に溜息をついた。
それを聞き逃さなかった戦友であり親友の橋本 明夫が寄って来る。
清宮は家が厳しかった為、鬼殺隊の命を預け合う隊士であろうと自然と男とは一線を引いていた。
しかしこの明夫は別である。
最初の合同任務で一緒になり、生き残った唯一の仲間であり、更に "絶対に男や女として意識しない関係" を約束し合った仲だからだ。
明「どうしたんだよ。」
「………………婚約したの。」
それに大声でリアクションを取りそうになった明夫の口を清宮は両手で覆う。
そして思い切り睨んで『静かに。』と言った。
明「…分かったよ。美人の凄みほど怖いもんはないな。」
「あなたまでそんな言い方をするなら付き合い方を考える。」
明「うそうそ。彩様はお顔が残念でいらっしゃいます。」
それを聞くと清宮は明夫の鼻をぎゅむっと摘む。
明夫はそれを外させると頬を膨らませる清宮の頭を撫でながら眉尻を下げて笑った。
明「悪かった。嘘でもそんなことは言うべきじゃないな。俺はお前と違って教養がないから言葉もあまり知らないんだよ。大目に見てくれ。……それで、」
そこで言葉を切ると明夫は一変して真面目な顔付きになる。