第1章 ※笑顔の裏側
杏「いつ死ぬかも分からない俺に嫁ぐことは君も本意ではないだろう。だがどうか聞いて欲しい。俺が君に求めることは一つだけだ。俺の血を引く子を生してくれ。煉獄家の子だ。鬼殺隊と煉獄家の悲願の為、使命の為にこの血を絶やすわけにはいかない。」
「…………子供を…生す為だけに…。」
見合いをしてくれた事に舞い上がっていた清宮の心は杏寿郎の言葉によって粉々に砕ける。
しかし、同時に『それでも良いから側に居たい』という気持ちが生まれてきてしまった。
「……こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します。」
その清宮の言葉によって趣味の話さえしないうちに二人の婚約が決まってしまったのだった。
―――
杏「よもや!君も鬼殺隊士だったのか!!よくご両親が許したな!!」
「今も許されてはいないです。命が掛かってますから…。ですが、それ以外の文句は言われないように女としての教養は全てこなして身に付けました。」
杏「そうか!君は頑固そうだな!!」
「………………。」
清宮は面と向かって『頑固そう』などと他人に言われた事が無かった為、澄ました笑顔のまま内心戸惑い黙ってしまった。
杏寿郎はその笑みを見ながら同じく笑顔を浮かべて『意思が強そう、という意味だ!長所だぞ!!』と気持ち良く言い放つ。
時間を持て余した二人は料亭の庭の散歩中だ。