第62章 【第六十一訓】酒は憂いの玉箒でも憂いの原因は酒って話
「どうせならこの一番高ェヤツ出せよ」
銀時はメニューのいちごパフェを指さした。
ふんだんに使われた生クリームとチョコレートは見るからに血糖値が上がりそうだ。
「それはダメ」
お登勢とベッドを共有していた銀時は、皆に前夜の出来事を確認して回った。
妙、九兵衛、さっちゃん、月詠、長谷川。
お登勢との過ちが事実かを確認する巡回のはずが、彼女等とも過ちを犯していたことを知る行脚となった。
だが、それは仕掛けられたドッキリ。
酔った銀時はしつこい絡み酒で皆にいやがらせをしたうえ、忘年会で大暴れ。店を破壊。
修理費を皆で肩代わりしていた。
罰を与えるためにお登勢が計画し、皆が協力した。
「銀さん、怒ってる?」
○○は全て知っていた。
作戦実行にあたり、事前に妙から確認されていた。
銀さんにドッキリを仕掛けるけど、いい? と。
○○は了承した。
銀時が結婚前提の交際を全員に申し込んだこと、七日にデートすることなど、お登勢や妙から報告されていた。
全て服部が考えた方法に銀時が乗っただけ、銀時の意志ではないと、○○に配慮しながら。
「怒っちゃいねェよ」
法螺で騙した奴等、協力するフリをして裏で操っていた忍者は許せないが、○○に対して怒りはない。
実際には不貞を働いていなかったことで、○○を傷つけずに済んだと安堵してさえいる。
ドッキリのことを黙っていた○○の方が怒っているのではと、様子をうかがいに店まで来たくらいだ。
金がないから、売り上げに貢献する気は毛頭ないが。