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『IDOLISH7』世界で一番好きな人

第5章 第四章君が好きだから




外で男装を解くのはあまりない。
あるとしても馴染みの店か、室内だけだったから少し不思議な気分だった。


今まで万理さんとお茶をすることはあったけど、お付き合いを始めて初めてお茶をするってことは。


これってデート?

「どうしたの?」

「いえ…なんでもないです!」

いけないわ。
相手は万理さんなんだから、ここで浮かれてはダメだ。

歩けば逆ナンは当たり前の万理さんは沢山の人とお付き合いをして来たのだろう。

私みたいな恋愛初心者とは違うはずだ。


「お待たせしました」

悶々と考えている最中、店員が運んできたのはケーキセットだった。

「え?まだ注文してないのに」

「勝手にしちゃったんだ。ごめんね」

「ありがとうございます」

お店に入った時にしてくれたんだ。
なんてそつのない人だろうか、しかも私の大好きな苺のミルフィーユではないか!


「好きでしょ?」

「大好きです!」

私がちょうど食べたいと思っていたのに、どうしてわかったんだろう。


「万理さんは何でもお見通しなんですか!私が今食べたい物まで言い当てるなんて」

「いや、大袈裟だよ」

仕事は出来て家事も完璧で気遣いもできる。
だからスーパー事務員さんと呼ばれてしまうわけだ。


「俺なんてまだまだだよ」

「だったらあの二人はどうなります?万理さんとじゃスキルが違います」

律も響も身内の贔屓目をとっても素敵な男性ではあるが、足りない部分が多い。

今でこそ普通に気遣いができるが、万理さんには遠く及ばないのだから。

「律はあの通りの性格だし。響も気遣いが上手というわけではありません…まぁ、ある程度はできますが」

社交辞令の一環としては可能だけど、万理さんのような気づかいは出来ないのだから。


「甘やかしては行けないのは解っているんですけど」

「甘やかしてたの?」

「はい」

二人に関してはあまり厳しく言わないから、少し思う所もある。

「あの二人は昔から人との関りが少ないんです。元から人が好きではなかったんですけど」

「そう…なの?」

「ええ」


ずっと狭い世界に閉じこもっていたからなのかもしれないけど、でも今は外に出ているけど。

やっぱり他人に距離を取っている。

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