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☆一夜の夢☆〈イケメン戦国 上杉謙信〉

第7章 看病五日目 謙信様と餃子


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浅い鍋に油を多めに敷き、餃子を焼き始めた。
舞が鍋に湯をまわし入れるとジューーーーと大きな音がして蒸気が上がった。

火傷をしまいかハラハラしたが舞はさして慌てるでもなく、手に持っていた蓋をかぶせた。


「5分くらい蒸し焼きにします」

謙信「5ふん……?」

「あ、違った。少しの間ってことです」


『ふん』とは時の単位といったところか。

舞の故郷は日常用語の他にも時の数え方さえ違うのだろうか。

草履に慣れていないとしたら、この女は普段何を履いていたのだ。

日ノ本の最果てで独自の文化が開いているのだろうか。
蝦夷や琉球だろうか。それともどこぞの島なのか。

以前から佐助にも国はどこかと問うてきたが、その度に上手くかわされ、今に至っている。

舞は国へ帰ると言っていた。


(俺のあずかり知らないところへ行ってしまうのか…)

(……行ってしまう?)


己の言い回しに疑問を持った。


(俺は舞が帰るのを惜しいと思っているのか?)


帰るというのなら帰ればいい。引き留める理由は俺にはない。

少し前ならそう思っていたはず。


謙信「ふむ……ところでこっちのこれはなんだ」


疑問は頭に残ったままだったが、奇妙な物体を見つけて問いかけた。


「それは鶏の皮です。こうしてじっくり焼くと鶏の脂が出てくるんです。
 旨味をだすために餃子の種にも入れたんですが、まだこんなに脂が出てきていますね」


木の皮のようになっている鶏皮を舞は手際よく包丁で切っていく。

その度にざく、ざくっと音がした。


「鶏皮せんべいっていうんですけど、お酒のつまみになります」


舞は菜箸で1つとり、俺に向かって差し出した。


「出来立てが一番美味しいですよ。はい、あーん」


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