第11章 決意
自宅に戻ったカヲルは
真っ直ぐにタケルの部屋へ向かった
ノックをしても返事は無く
ドアを開けてみると誰も居ない
リビングやバスルームにもタケルの姿はなかった
「……」
少し考えた後
カヲルがゲスト用のベッドルームを開けると
タケルはそこに居た
タケルは
もう何度となくチサトを抱いたベッドの上に身体を横たえ
乱れたままのシーツにボンヤリと指を這わせていた
「……タケル……話がある…」
「……何…?」
「………蒼井チサトの事だ…」
「……」
「…………彼女に執着するのは……もうよせ……」
「…………………チサトと………会うなってこと…?」
「……彼女はもう限界だ………心が壊れてしまう前に開放しろ…」